ゲームがこころを癒す? 最新研究を基にストレス軽減効果を科学する

ゲーム情報

ゲームは悪という風潮は正直疑問がある

 一昔前はゲームが教育に悪いと言われることが多く、「ゲーム脳」などという言葉までメディアで繰り返し報道されるなど、ゲーマーは肩身の狭い思いをしてきました。

現代でも香川県などではゲームの時間上限を努力義務とする条例が可決され、波紋を呼びました。
しかしゲームをしていることが当たり前の世の中になり、それによって世界が深刻な問題に直面しているとはとても思えません。

筆者はゲームだけを悪者にする論調には疑問を感じてしまいますので、本記事ではゲームが及ぼす良い点についても述べてみたいと思います。

当ブログはゲームに関する情報をお届けしています!

ゲームと精神的健康:最新の研究が示す可能性

ゲームが精神的幸福感に与える効果

 近年の研究では、ゲームが精神的幸福感を促進する可能性が注目されています。
ゲームをプレイする時間が適切に管理されればストレスを軽減し、リラックスする手段として効果を発揮することが示されています。
特に家族や友人と楽しむマルチプレイヤーゲームは孤独感を和らげ、社会的なつながりを感じやすくするという報告があります。
また問題解決や達成感を伴うゲームは、自信やポジティブな心の状態を促すことにも寄与しています。

メンタルヘルスとゲームの因果関係

 ゲームが精神的健康に与える因果関係について、多くの研究が行われています。
例えば日本大学経済科学研究所では、ゲームプレイが心理的苦痛の軽減や生活満足度の向上に関連する可能性があるとする調査が発表されました(参考リンク[1])。
この研究では、ゲームの所有やプレイが抑うつ改善に与える影響が男女や年齢層によって異なるとされ、PS5のポジティブな心理的効果は、「男性」・「成人」・「独身」への恩恵が大きい一方、そのようなパターンはNintendo Switchでは観測されず、むしろ「子ども」に大きな恩恵をもたらしています。

また長時間のプレイで心理的効果は薄れていくものの負の影響は観察されず、「長時間のゲームが子供に悪影響を及ぼす」という固定観念に疑問を投げかけています。

コロナ禍で浮き彫りになったゲームの役割

 コロナ禍では感染拡大によるロックダウンが世界中で行われ、不安や孤独感を抱える人々が増加しました。
その中でゲームは新たなストレス対処法として注目されるようになりました。
研究によると、ロックダウン中に多くの人が複数人でプレイできるゲームを選択し、それが精神的な孤立感の軽減に役立ったとのことです。
また、一部の調査では家庭用ゲーム機の所有が精神的健康を改善する要因となったとされています。
具体的にはNintendo Switchは家族間のコミュニケーションを促進し、PlayStation 5はハードコアゲーマーへの心理的サポートとして機能したと報告されています。

任天堂の発表では2020~2022年の間でNintendo Switch本体の売上がピークに達しており、コロナ過で急激に需要が増した様子が示されています。
特に家族が家にいる時間が増えたことは容易に想像されますので、ファミリー向けのNintendo Switchが売れたのはとても納得がいきますね。

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年齢や属性による効果の違い

 ゲームの精神的健康への効果は年齢や属性によって異なることが研究で明らかになっています。
例えば大人がゲームをプレイすることで脳の活性化や孤独感の軽減につながる一方で、青少年においてはストレス解消や自己表現の手段として機能することが多いようです。

また性別による違いも見られ、女性の抑うつに対してゲームがより効果的に作用する傾向があるとされています。
こうした属性ごとの特性を理解することで、より適切なゲーム利用の形が見えてきます。

科学が証明するストレス軽減効果

プレイ中に得られるリラックス効果

 ゲームは日常生活のストレスを和らげる方法として注目されています。
研究によればゲームをプレイすることで集中力が高まり、プレイ中に感じる達成感がストレス緩和に寄与するとのことです。
特に軽い集中状態に入ることができるゲームは、瞑想に近いリラックス効果を提供します。このような効果はパンデミック中に孤独感を抱えた多くの人々にとって、精神的な支えとなったことが報告されています。

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「テトリス」などシンプルゲームの意外な効果

 シンプルな構造を持つゲーム、たとえば「テトリス」のようなパズル系ゲームはストレス軽減に特に効果的であることがわかっています。
研究では視覚的にパターンを整理し続けるシンプルな作業が過剰な思考を抑制し不安感を軽減することが示されています。
「テトリス」は、短時間で気軽に楽しめるストレス対処法として多くの人々に愛されているのかもしれませんね。

特にコロナ過は報道でも暗い話題が多く、過度に悪い方へと思考が働きがちになりがちでした。
ゲームプレイでの誰もが知る効果「気分転換」がコロナ過では有効に作用したのではないでしょうか。

オープンワールドゲームが与える心理的解放感

 オープンワールドゲームはプレイヤーに広大な仮想空間を自由に探索する体験を提供し、心理的な解放感を与えます。
例えば「スカイリム」や「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」などでは、自分のペースで自然の中を歩き回ったり問題解決をしながら進めたりすることで、現実世界のストレスを一時的に忘れる効果が期待されます。
これらのゲームは没入感が高く、日常からの一種の「逃避」として、精神的健康をサポートする可能性があります。

筆者はオープンワールドゲームが特に好きです、特にMMORPGゲームクリアという概念が無くいつまででも遊べてしまいます。
ゲームクリアは大きな達成感を得られますが、クリアと共にゲームが終わってしまうという悲しさも孕んでいます。現在ではコンシューマーゲームでもエンドコンテンツの実装が当たり前になりましたので、その悲しさもかなり軽減されています。

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ナラティブゲームによる感情的カタルシス

 物語性が重視されるナラティブゲームは、プレイヤーに感情的な体験を提供することができます。
たとえば、「Life is Strange」や「The Last of Us」のようなストーリー重視のゲームでは、キャラクターとの感情的なつながりを感じながら、プレイを通じて心の浄化(カタルシス)を得ることが可能です。

心理学的には物語を通じた代替体験が内面的な不安や悲しみの解消に役立つと考えられています。
これらのゲームは現代のメンタルケア手段としてのポテンシャルを秘めています。

ネガティブな影響とその克服方法

 ここまでゲームの利点を述べてきましたが全く悪影響が無い、と言うには無理があります
以降ではネガティブな影響についても述べ、リスクを理解しコントロールできる状態で恩恵を享受できることが好ましいですね。

ゲーム依存症と過剰プレイのリスク

 ゲームにはストレス軽減や精神的健康を向上させる効果がある一方で、依存症や過剰プレイに陥るリスクが存在します。
特に長時間のプレイが習慣化すると、生活リズムの崩れや他の活動への影響が懸念されます。
研究では、1日3時間以上のプレイ時間を超えた場合、精神衛生の改善効果が薄れることが指摘されています。
また過剰な没入感は家族や友人との関係性を損なう可能性もあります。
こうした影響を最小限に抑えるためには、適切な時間管理やプレイの頻度を意識した利用が重要です。

精神衛生の改善効果が薄れる中で、生活リズムの乱れや他者との関係性への影響が大きくなってくれば全体的には悪影響と言わざるを得ません。
主に「ゲームは悪い」という論調はここから来ているものと筆者は推測しています。

暴力的なゲームが引き起こす可能性と実態

 暴力的なゲームによる暴力行動の誘発は、これまで多くの議論を呼んできました。
一部の研究では暴力的なゲームのプレイが短期的な攻撃性を高める可能性が示唆されています。
しかしながら、多くの調査では暴力的行動との直接的な因果関係は明確にされていません

研究者らはこのような影響がプレイヤーの性格や環境、さらには精神的健康など個別の要因によって異なると指摘しています。
元から暴力行動の欲求があったために暴力的なゲームを選択する、という可能性を否定することができませんよね。

暴力的なゲームプレイが暴力行動を誘発する、という短絡的な議論は避けるべきでしょう。

バランスを取ったゲーム利用の提案

 ゲームが精神的なリラックスや幸福感をもたらす一方で、その利用法によってはリスクも伴います。
ネガティブな影響を回避しながらゲームの効果を最大限活用するためには、バランスを取った利用が非常に重要です。

例えば1日のプレイ時間を予め設定したり、ゲーム以外の趣味や行動を意識的に取り入れることは有効な方法と言えるでしょう。
また、ゲームプレイをコミュニケーションの手段として活用することで、人間関係の質を向上させることも可能です。
研究では複数人で楽しむゲームが社会的接触を促進し、ストレス軽減に寄与することが確認されています。
こうした適切な利用方法を取り入れることで、ゲームを精神的健康のサポートツールとして活用することが期待されます。

何事もやり過ぎは良くない、ゲームに限った話ではありませんよね。

ゲームを活用したストレス・ヘルスケアの未来

リハビリやセラピーへのゲーム活用事例

 近年、ゲームがリハビリセラピーの分野で注目を集めています。
その理由として、ゲームが持つインタラクティブな特性や楽しさが治療への抵抗感を軽減し利用者のやる気を引き出す点が挙げられます。
例えば、ニュージーランドで開発された「SPARX」は、うつ病に対する認知行動療法をRPG形式で楽しく学べる仕組みを取り入れています。
ドイツのボン大学では、うつ病患者に「スーパーマリオ オデッセイ」をプレイさせたところ、感情面やモチベーションの改善が確認されました。
このようにゲームが精神的健康に対して直接的な効果を及ぼす可能性を持つことが科学的にも明らかになっています。

ゲームの肉体的な健康増進への寄与

 全体的に精神面でのゲームの効果を述べてきましたが、肉体面でのゲーム効果の方が直感的に分かりやすいかもしれません。
最も分かりやすいのはNintendo Switchで発売中の「リングフィット アドベンチャー」です。
飽食の時代に生きる現代人にとって肥満は切っても切れない関係ですが、肥満解消のための行動には強い心理的抵抗があります。

ゲームを遊びながら健康増進を図れるという設計はまさに治療への心理的抵抗感を軽減させることが可能で、例えとしては分かりやすいと思います。

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ゲームデザインとメンタルヘルス支援の融合

 ゲームデザインの中にメンタルヘルス支援を組み込む試みが進んでいます。
例えばゲーム内のストーリーに感情の解放を促す要素を導入することで、プレイヤーが自分の感情に向き合うことをサポートする仕組みが研究されています。
特にナラティブを重視したゲームでは、登場人物に共感し自己洞察が深まるケースが見られます。
また、アメリカで開発された「EndeavorRx」はADHD対象の治療用ゲームとして展開され、認知機能の改善が期待されています。

このようにゲームデザイナーとメンタルヘルス専門家が協力することで、より効果的なケアが可能になると考えられています。

学校教育や職場での応用の可能性

 ゲームは学校教育職場におけるストレスケア手法としても活用が期待されています。
例えば学校では、子どもたちがストレスを軽減できるようにゲーム化された学習プロセスを取り入れる試みが増えています。
ストレスを減らしつつ集中力や自己効力感を高めることが可能です。
職場においても社員のメンタルヘルスを支える手段としてチームビルディングゲームリラクゼーションを目的としたゲームの導入が進行しています。
これは働く世代が抱えるプレッシャーを軽減し、仕事の効率を高める可能性があります。

ゲームで学ぶ!といった枕詞があると心理的抵抗が多少なりとも軽減されることは、皆さんも経験ありますよね。

技術革新がもたらす未来のゲーム療法

 VR(仮想現実)AR(拡張現実)などの技術革新は、ゲーム療法の未来をさらに広げています。
これらの技術は従来にはない没入感リアルな体験を提供できるため、リハビリや心理セラピーに新しい可能性をもたらしています。
また、AIを活用して個人にカスタマイズされたメンタルケアのゲームデザインが開発されつつあります。
このようなテクノロジーの進歩により、ゲームを通じて心身の健康をサポートする取り組みがますます進化するでしょう。

さいごに

いかがだったでしょうか?
これらゲームに関する効果はコンシューマーゲームを対象に研究されており、スマホゲームでは調査されていない点に注意が必要です。

筆者は幼少期にゲームを禁止されており、クラスメイトなどと話題が合わなかったことが多々ありました。時間のある幼少期にプレイできなかったドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーなどの王道RPGは未だに重い腰が上がらずプレイ経験がありません。

筆者個人としては、ゲームの最も大きな効果は「成功体験を気軽に味わえる」ということだと思っています。
王道のRPGであれば訪れた街で課題を解決して住人に感謝されるという小さな成功体験を積み重ね、最終的に世界平和という大きな成功を成し遂げます。
特に学生や社会経験の少ない若者にとっては現実で大きな成功体験を得るタイミングが少なく、若いうちは~と苦労を強いられる局面も多いでしょう。
例えゲームであっても成功体験は精神的な喜び・安らぎを得られるため、ゲームに夢中になることはごく自然であるとも言えるでしょう。

筆者個人としてはゲームが悪という論調に否定的ですが、やり過ぎは他の部分に悪影響を与えるという点は反論の余地がありません。
適度に遊んでストレスを軽減しつつ、楽しいゲームライフをお過ごしください!

参考文献

[1] Hiroyuki Egami et al. Causal effect of video gaming on mental well-being in Japan 2020–2022, Nature Human Behaviour volume 8, pages1943–1956 (2024).

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